訪問看護ステーション経営研究会

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【理学療法士・作業療法士・言語聴覚士】 出世をするには?

病院で働くことの多い職種のため、就業面や収入面で安定しているイメージをもっている方も少なくないでしょう。

それでは、リハビリ系専門職が就業面や収入面でどの程度の水準にあるのか、また、収入をアップするための手段の一つである”出世”について詳しく解説していきます。

 

 

リハビリ系専門職は出世しやすい?

現在日本が直面している高齢化社会厚生労働省の提示した、平成18年度医療制度改革において、予防医療が重視されるようになった昨今、理学療法士作業療法士言語聴覚士といったリハビリ系専門職の需要は、各分野でますます高まっていると言えます。

看護師ほどではありませんが、就業面では引く手数多と言えるでしょう。

従事している平均年齢も若く、比較的出世しやすい職種と言えるでしょう。

リハビリ系専門職の平均年収の水準は?

厚生労働省 令和2年年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士作業療法士言語聴覚士・(視能訓練士)の平均年収は418.9万円となっており、一般労働者の平均年収307.7万円を大きく上回ります。

厳密には、資格を取得するための養成校に通学するコストや時間、就業している平均年齢等を加味するべきですが、比較的安定して収入を得ることができる職業と言えるでしょう。

出世することは収入アップにつながるの?

比較的安定した収入を得ることができるとはいえ、物足りなさを感じる方も多いのではないでしょうか。それでは、出世をすることで実際に収入があがるのかどうか、例を挙げて解説していきます。

まず、収入アップにつながるかどうかは、企業の採用している給与形態によって変わります。リハビリ系専門職の給与形態は大きく分けて固定給、固定給+歩合制、完全歩合制の3種類(常勤職員を完全歩合制にすることは違法ですが、非常勤を掛け持ちして実質週5日前後の勤務にしたり、業務委託の形式で実質雇用をする企業もありますので参考までに)があります。

固定給は、基本的に毎月決まった金額が、雇用主から従業員に対して給与として支払われます。対して、歩合制を導入している企業については、月の売上成績等によって支払われる給与の金額が変動します。リハビリ系専門職の多くは、算定した単位数や売上に寄与する活動の拘束時間等によって歩合を計上しています。固定給+歩合制の場合、固定給の額面が上がれば上がる(下がれば下がる)ほど歩合部分の額面は減少(増加)する傾向にありますが、そこについては企業のスタンスによって決めていることが多いようです。

では、訪問系の職場を例に、固定給、固定給+歩合制、完全歩合制の3種類について簡単に試算をしてみましょう。

〜固定給の場合〜

  • 設定:基本給30万円、管理職手当10万円、訪問件数100件/月
  • 管理職スタッフと一般スタッフの給与差額:(30万円+10万円)ー30万円=10万円

〜固定給+歩合制の場合〜

  • 設定:基本給30万円、管理職手当10万円、訪問件数100件/月(71件目から3千円/件の歩合)
  • 管理職スタッフと一般スタッフの給与差額:(30万円+10万円)ー(30万円+3千円×30件)=1万円

〜完全歩合制の場合〜

  • 設定:

   管理職:基本給30万円、管理職手当10万円

   一般スタッフ:訪問件数100件/月(4.5千円/件の歩合)

  • 管理職スタッフと一般スタッフの給与差額:(30万円+10万円)ー(4.5千円×30件)=-5万円

 

以上のように、固定給を採用している場合は、まず間違いなく出世によって収入はアップするでしょう。一方で歩合制を導入している企業については、歩合と固定給の割合等にもよりますが、場合によっては上司と部下の給与が逆転してしまうこともあるということです。収入アップを念頭に出世を考えた時、”出世をしたのに給与が下がる”ことは避けたいところでしょう。 

出世できる職場を選ぶ

出世できる職場選びは2種類あります。ひとつは現在勤務している職場、もしくは勤務することが決まっている職場。もうひとつは転職をすることです。出世をしたいのに、今の職場で短期間での出世が望めないと判断したら、迷わず転職を選びましょう。また、転職する場合は、短期間で出世ができる(しやすい)職場であるのかどうかを事前にリサーチし、把握しておきましょう。

出世できる職場をリサーチする方法は?

出世できる職場をリサーチする方法は、

  • 転職サイトを利用する
  • 同業の知り合いに聞く
  • 自分で企業の採用担当に話を聞いてみる

の3種類があります。

まず、転職サイトを利用することについて、転職市場において医療系は単価が高いので、医師や看護師ほどではないにしろ、転職エージェントの熱量は比較的高めです。一部有料のサイトも存在はしていますが、医療系の場合は無料の範囲内で十分すぎるくらいの情報収集が可能です。まずは多くの情報が集まりやすい大手の転職サイトに登録し、求人情報を閲覧することや、エージェントに実際に話を聞いてみるのがいいでしょう。

 

まずは、大手求人サイトへの登録をお勧めします。

そこで、業界の求人動向を掴みましょう!

 

マイナビコメディカル

PTOTキャリアナビ

 

 

 

次に、同業の知り合いに聞くことについて、他の職場に勤めている養成校の同期や先輩、後輩など、実際に勤務している人に話を聞くことが、職場の雰囲気や実績を知る上では一番確実と言えます。ただ、その人の役位や人間性によっては、主観に偏った意見となってしまう可能性もあるので注意が必要です。

 

 

最後に、自分で企業の採用担当に話を聞いてみることについて、リハビリ系専門職の採用担当の多くは、拠点責任者でしょう。中には拠点の中でもリハビリの主任であったり、逆に本部のスタッフが入ることもあります。いずれにせよ、採用担当は実際の人事権にも少なからず関わっていることが多いため、自分のキャリアアップの意思がどの程度反映される見込みがあるのか、実際に聞いてみるのが良いでしょう。

出世できる職場のリサーチについてそれぞれ解説しましたが、実際は全ての方法を組み合わせて、包括的に判断するのが良いでしょう。どんな職場が出世しやすい職場なのか判断するポイントは別の記事にまとめていますのでそちらも是非ご参照ください。