訪問看護ステーション経営研究会

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【訪問看護】スタッフにプライベートデバイスを使わせるべき?

仕事なのに自分のスマホやPCを使わなきゃいけないのか・・・。訪問看護ステーションに関わった方であれば、このような疑問を持ったことがあるかもしれません。

全国に1万件以上ある訪問看護ステーションが、スタッフに使用させるデバイススマホやPC)をどのように設定しているのか、それは様々です。

この記事では、訪問看護ステーション業務において、スマホタブレット、PCなどのデバイスのあるべき位置付け、どのように使うべきなのかを解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

 

1.そもそもスマートデバイスは必要なのか

結論から言えば必要です。

ただ、その訪問看護ステーションのスタンス次第にはなりますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

2.プライベートデバイスを業務で使用させない

結論から申しますと、プライベートのデバイスは絶対に業務に使用させるべきではありません。

詳細は次の項目で解説しますが、ざっくりと以下の通りです。

①顧客情報や個人情報、企業の機密情報を扱う可能性があるから

②紛失時や盗難時の責任の所在が曖昧になりやすいから

③データ通信料等、スタッフによる自己負担が発生する可能性があるから

④業務に合わせてスタッフがデバイスを用意する必要があるから

 

管理側からすれば、③と④については諸手当等での対応も可能ですが、個人情報保護や機密情報漏洩防止の観点から、プライベートデバイスの使用は絶対に許可すべきではありません。

「使ってもいいが、自己責任で」ではなく、「絶対に使用してはいけない」です。

つまり、業務用デバイスは企業側が用意し、入社時または入社前に、全スタッフと必ず業務用デバイスを企業の定めた環境でのみ使用する、と言った旨の誓約書を取り交わすことが理想的です。

 

3.業界内で特に優先されるべき観点

以下の項目は当然訪問看護業界のみならず、企業においては必ず実施しなければならないことですが、業界特有の理由を交えて解説します。

①個人情報保護

抵触した場合、顧客(関係機関との契約の有無はケースバイケース)、利用者、利用者家族との契約上の問題だけ(それでも裁判沙汰になることはある)ではすみません。

最悪の場合、事業所に監査が入ることになり、関係法人の全事業所の業務停止命令が降ることもあり得ます。

②機密情報漏洩防止

転職における医療職の売り手市場はこの先も大きく変動はしないでしょう。

つまりスタッフの出入りは激しくなりがちです。

取引先や利用者分布、経営データ、情報資産等、いつでも持ち出せる状態にあるのは無償で他企業に資産を提供しているのと同義と言えるでしょう。

③従業員保護

スタッフ目線で考えれば、業務にプライベートデバイスを使用する、と言われた時に必ず確認してほしいのが、以下の項目です。

  • 業務による影響でデバイスが紛失・破損・消耗・故障等をした可能性がある場合、企業または企業が加盟する保障団体等から無償で保障を受けることができるのか
  • 端末内に業務用データ等が残る業務フローの場合、デバイスの紛失等によって起こり得る個人情報保護法に抵触する事象に対して、全面的に企業側が責任を負うのか
  • 通信量等が発生する場合は企業側の負担となるのか

特に上2つに関しては、絶対に約束されていることを確認してください。

このような制度が無い場合は、自分の身を守ることを最優先で考えて行動しましょう。

前述しましたが、スタッフの出入りが非常に激しい業界です。

運営目線で考えれば、これらのコストで十分業務用端末を調達・管理できますし、それらのコンプライアンスがきちんと守られていれば、スタッフも安心するでしょう。

ITリテラシーが非常に低い業界なので、ハード(デバイス等)面からスタッフを支援する体制はむしろそれだけで企業のブランディングになります。

採用面等での効果も期待できますので、是非取り組みましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

ITリテラシーが低い業界にも、IT化の波は避けては通れません。制度面からも、情報の電磁的保存や処理や謳われるようになってきました。

また、情報リテラシー等の義務教育が進むにつれ、スタッフのリテラシーも底上げされていくでしょう。

これらを考慮し、業務用デバイスの支給を余計なコストと考えず、規定を含めキチンと整備することで、逆に企業ブランディングをしていきましょう。