訪問看護ステーション経営研究会

多数店舗展開訪看ステーション統括経験者による訪看経営コンサルティング

【訪問看護】訪問看護事業とシナジーを出しやすい事業3選

訪問看護事業以外にも事業展開をしたい方に向けて、シナジーを出しやすい事業について詳しく解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

 

1.訪問診療を主とした診療所(以下クリニックと呼称)

クリニックは訪問看護サービスの依頼元となるのと同時に依頼先にもなります。また、クリニック運営は訪問看護に対するサービス依頼が必須となるため、訪問看護の依頼がクリニック運営の副産物として生成されます。さらに、訪問診療を必要とする利用者は医療依存度が比較的高い傾向にあり、客単価が高くなりやすいと言えます。つまり、訪問看護ステーションとしては、何もしなくても高単価な依頼が来る状態となるため、シナジーを出しやすいと言えるでしょう。また、ケアマネと異なり同一法人への依頼割合で減算等の制度もないため、全ての依頼を減算無しで内部で消化することが可能です。収益面以外では、同一(関係)法人ならではのシームレスな連携によって高いクオリティーのサービスの提供がしやすくなります。

一方で、医師をはじめとする人材確保や高額な運転資金等、参入障壁が高いのが課題と言えるでしょう。

2.住宅型有料老人ホーム

住宅型有料等人ホームは、制度上直接の依頼元とはなりませんが、利用者やその家族、関係機関に対して同一(関係)法人ならではのシームレスな連携が可能という強みをアピールできれば、入居前や入居時のタイミングで依頼につながりやすいと言えます。また、訪問看護事業中心の視点で述べるのであれば、有料老人ホームの依頼元に対して医療依存度の高い利用者を中心に入居を勧めることで、客単価を上げることが可能です。また、空室(一時的でも)があれば、訪問看護サービスの利用者のレスパイト入所先としても利用できるでしょう。ただ、医療依存度の高さは空室リスクと常に隣り合わせです。また、訪問系サービスにおける同一建物等減算、事業自体に高額な設備投資や夜勤者を含めた人材確保、高額になりがちな運転資金等が必要になることから、主に資金面での参入障壁が比較的高いことが課題と言えるでしょう。

3.居宅介護支援事業所

こちらは訪問看護サービスの主に依頼元であり、やりようによっては依頼先にもなるため、シナジーを出しやすいと言っていいでしょう。また、単位調整や情報共有など、他法人間のやり取りで支障をきたしやすい部分が解消されやすいのは大きなメリットです。また、大雑把に表現すると主任ケアマネの確保ができれば開設可能であり、訪問看護ステーションと併設可能(同一事務所内の開設が可能)なため、コスト面において参入障壁は低いと言えるでしょう。

一方で、居宅介護支援事業所自体の独立採算性が低いこと、ケアマネが担当できる利用者には制限があること(制限を超えると減算になる&キャパシティ的に難しい)、同一法人への依頼割合制限を超えると減算になること等の課題もあり、ケアマネ一人が訪問看護事業に還元できる利益は限られます。収益性を優先するのであれば、あくまでも訪問看護事業のカンフル剤程度に考えておくのが無難と言えるでしょう。

まとめ

訪問看護事業とシナジーを出しやすい事業は他にもありますが、今回は中でもシンプルでわかりやすい事業に絞りました。訪問看護事業が軌道に乗り、潤沢な資金を確保することができたなら、訪問看護以外の事業への参入も検討してもいいかもしれません。