訪問看護ステーション経営研究会

多数店舗展開訪看ステーション統括経験者による訪看経営コンサルティング

【訪問看護】訪問看護ステーションの事業モデルを徹底解説!

訪問看護ステーションの経営に興味がある方に向けて、訪問看護ステーションの事業モデルについて概要を解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

  • 訪問看護ステーションの経営に興味がある
  • 訪問看護の事業モデルを知りたい
  • 事業の収益性や運営の社会的意義について知りたい
  • 事業への参入ハードルの高さを把握したい
  • 事業を成功させたい 

 

1.ストック型ビジネスモデル

訪問看護は、利用者との契約締結により、サービスを提供することによって基本的に毎月の収益が発生するというストック型のビジネスモデルです。ストック型には1度契約を締結してしまえば、毎月安定した収益獲得が可能になるメリットがある一方で、収益が一定基準に達するまでに時間がかかりやすいというデメリットもあります。

2.損益分岐点到達までの期間が長い

販売管理費のかけ方にもよりますが、訪問看護事業の場合、損益分岐点到達時の利用者人数が30〜40名程度です。仮に月の利用者純増数を5名と仮定した場合、損益分岐点到達までの期間は6〜8ヶ月ということになります。ステーション開設初月は、周囲に全く認知されていない状態からのスタートとなるため、依頼(受注)を受けるのは簡単ではありません。また、獲得した利用者が、入院したり死亡したりするケースが、サービスの性質上当たり前のようにある為、月の利用者純増人数5名の設定でも高いハードルと言っていいでしょう。訪問看護事業成功の為のピースが全て揃っていれば、6ヶ月未満での単月黒字化も十分に可能ですが、通常は上手くいったとしても1年〜1年半の赤字は見ておくのが無難です。また、保険制度を利用する為、債権の現金化も遅くなります。ゆえに、初期投資、運転資金合わせて2,000〜3,000万円の資金準備が必要になるでしょう。

3.エリア性が重要視される

訪問看護は、法によって定められた所要時間の訪問を、基本的に営業時間内に提供するため、1日に提供できる訪問件数には限界があります。また、利用者の自宅や施設への訪問となり、移動を伴うため、移動時間も計算に入れる必要があります。人口密度、要介護認定者率、訪問看護サービス利用者率、サービス競合率などを考慮した市場性が高いエリアでなければ基本的には闘えません。極端なことを言えば、山間部や離島などの過疎地域でのステーション開設は、社会的意義は大いにありますが、収益性は全くありません。東京都23区のような人口密集地域であれば別ですが、事前の入念かつ正確なエリアマーケティングがマストと言えるでしょう。

4.営業利益率30%を目指せる

適切な人員配置、稼働率を維持できている前提ですが、ステーションの月あたり売上が500万円前後に到達するタイミングから、営業利益率は安定していきます。そして、1,000万円に到達するタイミングから、営業利益率30%達成は現実的に可能となってきます。

5.社会的意義・安定性が大きい

訪問看護という事業は、在宅医療や在宅介護等、地域包括ケアシステムという社会的インフラに組み込まれています。さらに、新型コロナウィルスの影響で、在宅医療の必要性はますます高くなっています。将来的な展望については断言できませんが、政府の施策やパラダイムシフトが急激に起きない限り、永続性のある事業と言ってもあながち間違いではないでしょう。

6.買収・事業継承が最も効率的

収益面、資金面での安定性、効率性を優先するのであれば、既に利用者やスタッフを抱えている訪問看護ステーションの買収や事業継承・譲渡などが最も効果的です。訪問看護事業のデメリットは、主に①高額な採用費と、前述した②損益分岐点までにかかる時間と運転費用です。買収や事業継承などは、この2つのデメリットをカバーしやすい方法と言えるでしょう。

まとめ

訪問看護事業は、法で定められた人員配置を満たせなくなること、資金面の問題等で新規設立ステーションの約半数が、休止または閉鎖を余儀なくされています。利用者や関係機関、スタッフに迷惑をかけない為にも、採用やマーケティング等の入念な準備、十分な資金の準備によって、安定した事業運営を心がけましょう。