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【理学療法士・作業療法士・言語聴覚士】 出世のデメリット7つ

ライフワークプラン設計のために出世の選択肢を考えているが、出世のメリット・デメリットがイマイチ理解できていない、という人に、今回は出世をすることのデメリットについて詳しく解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

  • 出世のデメリットについて知りたい
  • 自分が出世に向いているのか、向いていないのかを判断したい

 

その1〜場合によっては収入がダウンする〜

出世をするのに給料が下がるという現象をにわかに信じがたい人もいるかと思います。筆者も実際に経験していますが、一般職スタッフから管理職スタッフになったことで、給与が下がってしまうケースは、企業の給与形態によってはあり得ます。インセンティブ制度の給与に占める比重が高い企業では、管理職の現場に出る機会が減ることによってインセンティブの部分が激減します。それにより、”インセンティブ給与>管理職手当”の現象が起きてしまいます。転職予定(または現在)の企業の給与形態や、管理職になった時の具体的な働き方について事前に入念なリサーチをしておきましょう。

中には一般職スタッフの時の業務に、純粋に管理業務を上乗せすることでインセンティブ給与+管理職手当を総取りするスーパーマンもいますが、あまり現実的ではないので参考にしない方がいいでしょう。


その2〜現場に出ることが減る〜

管理職スタッフになると、全ての業務の内、一定時間管理業務に従事する必要があります。管理業務は多岐に渡りますが、基本的にはヒト・モノ・カネの管理です。大抵の場合、実際に治療をする機会は激減するでしょう。実際にご利用者を治療する、いわゆる”現場の仕事”をしたい人にとっては不向きかもしれません。専門職であるから故に現場にこだわるのは当然のことです。その現場に出る機会を減らしてでも出世に魅力を感じるかどうかは個人の考え方次第なので、ご自身で判断するのが良いでしょう。


その3〜管理業務の知識・処理技術を身につける必要がある〜

その2でも触れましたが、管理業務は基本的にはヒト・モノ・カネの管理です。ヒト・モノ・カネそれぞれを管理する知識・技術を身につけていかなければ部署や拠点の運営はうまくいかないでしょう。医療職の場合は、製造業や販売業ほどモノを扱うことは多くはありませんが、それでも社会・社内のルールを最低限把握する必要があるでしょう。ヒトがいなければ売上は立ちませんし、ボランティア集団でない限りはカネが稼げなければ組織は成り立ちません。勤怠管理やスタッフの心身の健康管理、移動を伴う場合は交通安全や交通違反の管理、車両の管理、箱(事務所)の管理、収支の管理、場合によっては給与の管理、請求の管理・・・など1つ1つの処理に時間をかけている暇はありません。一般職スタッフでいた時には経験したこともないような、複数のタスクを効率よく処理するスキルを身につけていかなければ、苦しい立ち回りになるでしょう。


その4〜向いていないと長続きしない〜

一般職スタッフと管理職スタッフでは業務内容が全く異なります。ゆえに、一般職スタッフでうまくやれていた人が、そのまま管理職スタッフでもうまくやれるかと言えばそうとも限りません。その3で解説したように、管理業務は多岐にわたります。つまりマルチタスクを処理する能力と管理する能力の両方が求められます。こればかりは義務教育はおろか、養成校でも教えてくれることはないでしょう。タスク管理や処理にロジックは十分通用すると思いますが、感覚で仕事をこなしてきた人や、論理的な組み立てが苦手な人にとっては、あらかじめ備わっている能力、もしくは新たな環境に晒されて開花した能力に頼るほかありません。アテがはずれてしまうと、苦手な業務に終始従事していなければならなくなり、長続きしないでしょう。管理職になる前に、管理者に相談する等により、管理業務をできるだけ経験・体感しておくのがいいでしょう。


その5〜自分のシフト希望を通しづらい〜

管理業務の一つとしてシフト作成がある職場は多いでしょう。部下を管理・コントロールするには少なからず部下等とのかけ引きや交渉が必要な場合もあります。管理職自ら、自身のシフト希望を最優先させることが、結果的に部下の信頼を失うことにもつながりかねません。場合によっては部下の希望を優先し、自身の予定を変更せざるを得ないこともあるでしょう。ただ、考えようによってはシフト作成一つでも部下とのコミュニケーションの機会になり得ますし、うまく組むことができれば部下の信頼を得ることにもつながり、結果的に生産性を向上させることができるでしょう。


その6〜上司と部下の板挟みになる〜

出世すると、必然的に上司と部下の板挟みになります。この環境が人間関係の構築や立ち回りを身につけたりと、自分を成長させてくれる、とポジティブに考えられる人であれば問題ありません。ただし、実際に”板挟みになっている”と感じているような状況になってしまっていると、基本的に良いことは全くありません。これに関しては出世することのデメリットでしかないと言えるかもしれません。


その7〜責任者なので何事も終わるまで対応しなければならない〜

管理職は日々トラブル対応やクレーム対応、それらを未然に防ぐための行動をしなければなりません。難しい案件となれば、一般スタッフから対応を引き継ぐこともあるでしょう。責任者ゆえに事が収束するまでは必然的に対応を迫られることになります。場合によっては残業となってしまうこともあるでしょう。ただ、それらの対応の積み重ねによって部下からの信頼を得たり、臨機応変さやトラブルを未然に防ぐ立ち回りなどを身につけていくことができるでしょう。

 

 

まとめ 

メリットとデメリットは表裏一体であることが多いと言えます。また、受け取り方や立ち回り方など、人によってメリットとデメリットは正反対のものへと変わってしまうこともあります。この記事を読んでいただいたみなさんには是非、デメリットについてもプラスに捉えて、出世について前向きに検討していただければ幸いです。