訪問看護ステーション経営研究会

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【訪問看護】 請求業務のエラー対策5選

訪問看護ステーションの経営を成功させるためには、請求をいかに正確に行うか、が大変重要になります。請求業務を正確に行うポイントについて詳しく解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

  • 訪問看護事業に携わっているが、請求業務に不安がある
  • 請求エラーが多く、改善したいが、何をすればいいのかわからない
  • 訪問看護事業を成功させたい 

 

1.請求の前に訪問看護のルールを理解する

請求業務は請求上のルールに沿って遂行する必要があります。ゆえに請求上のルールを把握している必要があるわけですが、請求上のルールさえ把握していれば良いというわけではありません。なぜなら、請求上のルールは訪問看護の制度上のルールがあって成立するからです。訪問看護の制度上のルールが間違った上で、正しく請求することは絶対にできません。仮に請求が認められたとしても実地指導等で返戻のリスクを負い続けなければなりません。請求に関する知識に自信があるスタッフだけで全ての訪問業務を遂行することは不可能です。状態変化等により加算算定要件が変更されたケースや、特別指示が発行されるケース、難病等自己負担上限額管理票を扱うケースなど、請求に直結する情報の多くは現場レベルで収集するしかありません。直接現場に赴く訪問スタッフレベルでリテラシーを向上させていく必要があるのです。

2.請求ソフトの機能・サービスを見直す

請求に必要な情報の管理に、請求ソフトの機能を利用しているという事業所は多いことと思います。ただ、請求ソフトの機能だけでは情報管理の全てを網羅することができず、結局請求ソフト以外の外部ツール(Excelなど)を利用しているケースも少なくないでしょう。そういったケースでは、”請求”という一つの業務に複数のツールを使用せざるを得なくなり、結果的に業務効率や業務の確実性を欠いている可能性があります。現在利用している請求ソフトの機能について、一度見直してみるのもいいかもしれません。何をどこまで管理できる機能を備えているのか、製品の保守の範囲を明らかにした上で、他社の製品の事業説明を受けるなど、比較をするところから始めてみましょう。

3.請求エラーの振り返りをする

請求業務に限ったことではありませんが、エラーが起きた場合は必ず原因の特定、分析、改善が必要です。これが為されない限り、いつまで経っても請求エラーは減りません。請求業務を滞りなく遂行することは、限りなくエラーを減らすことです。請求エラーの振り返りに関して、以下のポイントを抑えましょう。

 ①エラーを定義する

請求エラーと言っても原因は様々です。自事業所のミスはもちろん、関係機関のミスということもありますし、制度上仕方のないものもあります。まず、何をもってエラーとし、分析の対象とするのかを定義する必要があります。関係機関のミスや制度上仕方のないものにアプローチするのは非常に困難です。自事業所のミスにフォーカスし定義するのがいいでしょう。

 ②原因を特定する

①の定義に則って原因を特定しましょう。また、請求上の情報だけでは見えてこないエラーについては、訪問看護の制度の理解不足や、情報収集時点でのエラー等、必ず原因が特定できるまで作業を続けましょう。

 ③改善策の検討をする

②で特定した原因、エラーの発生した箇所について分析し、改善策を検討した上、即座に施行しましょう。また、その改善策が通行であったかどうかを繰り返し評価していくことで、業務の正確さを向上させましょう。

 ④関係するスタッフにエラーに関する情報をフィードバックする

 エラーが発生した事例に関わるスタッフ全員に、エラーに関する情報をフィードバックしましょう。特に請求業務に直接関わることが少ない(事業所が多い)訪問スタッフは、エラーに関して当事者意識が希薄な場合があります。エラーに関する情報をフィードバックすることで、現場レベルで改善を図りましょう。

3.業務フローを見直す

請求業務の効率化、正確性の向上を図るには、業務フローを見直すのも一つの手段です。エラーの振り返りができていれば、課題は明確になっているはずです。頻度の多い種類のエラーには、必要に応じて複数人・複数回のチェックを入れる等の対策をし、エラーを未然に防ぎましょう。

4.業務に従事する人を見直す

業務フローが完璧である場合は、そのフローに従事する人の人選に問題があるかもしれません。システム(業務フロー)は、従事する人を含めてシステムとしての役割を果たします。人には得意不得意があるため、適材適所の人選でない限りシステムが完璧に機能することはありません。システムが機能しないと判断した場合、業務フローだけではなく、人選についても併せて検討するのが良いでしょう。

5.取得する加算を再検討する

請求エラーの内訳として、加算取得のミス(算定し忘れた、算定要件を満たしていなかった等)はメジャーでしょう。訪問看護の加算は1種類や2種類ではない上に、加算の中には算定要件が複雑なものもあり、ミスが起きやすい項目になります。加算取得については、取得しないで問題になることは滅多にありません。ゆえにエラーを防ぐために、あらかじめ算定要件がシンプルな加算の取得のみを行う事業所もあります。また、この対策については、実地指導時の返戻対策や、業務をシンプルにすることで結果的に業務効率を上げる、という考え方もできます。

まとめ

請求業務は単なる事務業務ではありません。現場スタッフと請求業務に従事するスタッフの密な連携・協力があって始めて成り立ちます。事業所の規模が大きくなればなるほど、請求エラー金額は大きくなります。磐石な経営を可能にするために、請求エラー対策は必ず行うべきでしょう。