訪問看護ステーション経営研究会

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【訪問看護】 事業所の収支項目を徹底解説!

訪問看護ステーションを経営している、または起業を考えている、現在所長をやっている、事業の収支に興味があるという方に、事業所の収支を把握するための収支項目について解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

 

1.収入項目

①介護・医療・自費訪問の利用者負担額+レセプト実入金額

 各種保険利用による保険請求分・利用者自己負担分、自費料金請求分の合計金額です。売上のほぼ全てを占めるでしょう。

②看護等学生の実習受け入れ報酬

学生の実習を受け入れると、報酬として学生1人1日あたり2,000〜3,000円程度の報酬が養成校から受け入れ先ステーションに支払われます。報酬額については養成校によって異なります。

③介護職員への吸引指導等の指導報酬

ステーションの看護職員による、別事業所の介護職員に対する吸引指導の報酬です。報酬額は約1万円弱ですが、対象や成果の定義をよく確認して実施を検討してください。

④その他

請求している場合は、交通費や燃料費。各種自費オプションを①の自費料金請求分と分けて計上する場合はそれにあたります。その他に、自治体の委託事業や講演費用、製薬会社や医療機器ベンチャー等企業とのタイアップ案件に報酬が発生する可能性があります。

2.支出項目

①人件費(給与+福利厚生費用)

訪問看護事業の場合は、規模にもよりますが支出の8〜9割を占めるでしょう。想定月給(歩合分を考慮)+福利厚生費用(想定月給の15〜16%程度)で求めることが可能です。

②家賃・事務所管理関係

事務所家賃、駐車場借用費、水道・ガス・電気料金、通信費(固定+モバイル)等がこれにあたります。水光費や通信費はそれほど変動しませんので、家賃等の固定費と共に3ヶ月平均等で固定してしまっていいでしょう。

③車両関係

車両購入費、車両保険料、パーキング利用料金、ガソリン代等がこれにあたります。車両購入費についてはリースを利用していればリース代になります。車両購入費は金額的にかなり大きく、人員増員の度に必要になります。人員計画に基づいて計上しましょう。パーキングやガソリン代については車両購入費ほど大きな金額ではないため、スタッフ1人あたりの3ヶ月の平均で固定して差し支えないでしょう。詳細に設定したい場合はスタッフの月あたりの訪問件数を固定して平均値を求めるといいでしょう。

④物品関係

消耗品購入費(ティッシュ、トイレットペーパー、文房具等)、衛生物品(マスク、グローブ、消毒用アルコール等)、販促品購入費(名刺・パンフレット等)がこれにあたります。3ヶ月の平均で差し支えないでしょう。

⑤その他

損害保険料、請求ソフト利用料、ファクタリング利用料、採用費、諸業務外注費等がこれにあたります。これら以外に予定管理や勤怠、給与計算、人事・労務管理、会計等にシステムを導入している場合はそれらの利用料を計上してください。より細かく追うのであれば、地域のステーション連絡会等の会費、接待費等も計上するといいでしょう。

まとめ

収支計画は正確なことに越したことはありませんが、収支について全く管理されていなかった状態からこれらの項目を全て正確に追っていくとなると、特に支出についてはかなりの手間がかかるでしょう。”とりあえず概算をしたい”という場合は、以下で求めてみるといいでしょう。

・収入:訪問件数×8,000〜9,000円

・支出:①スタッフ人数×45万円 +  ②①÷4

やや厳しめの数値になるかもしれませんが、規模が大きくなればなるほど利益率は上がります。管理面も含めて、適正なステーション規模を模索してください。