訪問看護ステーション経営研究会

多数店舗展開訪看ステーション統括経験者による訪看経営コンサルティング

【訪問看護】事業を成功に導く営業活動① 〜展開編〜

訪問看護ステーションの経営を成功させるためには、収益の黒字化が最重要課題です。収益の黒字化に直接結びつく営業活動の展開方法について詳しく解説していきます。

 

この記事は以下のような人におすすめです

  • 利用者数、売上高が思うように伸びない
  • 営業活動をどのように展開すればいいのかわからない
  • 訪問看護事業を成功させたい 

 

1.事業所規模を開所期・成長期・成熟期・次店準備期でステージ分けする

営業活動は、事業所の規模や地域からの認知度などを考慮し、戦略的に方法を変えて展開すべきです。訪問看護ステーションにおいて主な受注元となる医療機関、居宅支援事業所に対して、どのステージにおいて、どのような営業戦略を取るべきなのか、あらかじめ予定を立てて準備を整えておきましょう。まずはステージ分けにおいて、各ステージの定義の指標を示します。

各ステージの定義

①開所期

・時期:開所1ヶ月前〜

・利用者:0〜50人

・訪問件数:0〜400件

・スタッフ人数:3〜5人

②成長期

・時期:ー

・利用者:51〜100人

・訪問件数:401〜800件

・スタッフ人数:6〜10人

③成熟期

・時期:ー

・利用者:101〜150人

・訪問件数:801〜1200件

・スタッフ人数:11〜15人

④次店準備期

・時期:ー

・利用者:151〜人

・訪問件数:1201〜件

・スタッフ人数:16〜人

2.開所期の営業展開

地域の医療機関、地域包括センター、居宅支援事業所を中心に営業活動を展開しましょう。余裕があれば施設系や他訪問看護ステーションに営業をかけてもいいでしょう。この時期は特に、依頼元とのパイプ作りが最優先事項になります。中でも訪問診療を扱う医療機関は医療依存度の高い患者を扱うことが珍しくありません。そうでなければ患者自身で通院可能だからです。また、医療依存度が高ければ、当然訪問看護を含め他の在宅サービスの利用が必要になってきます。つまり訪問診療を扱う医療機関訪問看護の(客単価が高い)利用者の依頼元となりやすい性質を持ちます。最優先の営業先は訪問診療を扱うクリニックにするといいでしょう。次に地域包括センターに営業をかけましょう。地域包括センターは平たく言えば地域全体の包括的支援を目的に設置されており、要介護1以上の高齢者の支援を役割とする通常の居宅支援事業所とは担う役割が異なります。つまり、地域の情報に精通しているということです。ただ、直接依頼もあるので、営業をかけつつ、地域の情報をできるだけ収集しましょう。最後に、居宅支援事業所をしらみつぶしにあたっていきましょう。依頼が来るまで、あの手この手で接触の機会を設けましょう。

開所期は、特別な理由がない限りはエリアにこだわらずに営業活動を展開しましょう。訪問同線の効率性は考慮する必要はありません。まずは依頼1件の重みを優先しましょう。

3.成長期の営業展開

開所期と比較して、まだエリアを絞る必要はありません。また、営業先のターゲットも基本的には変える必要はないでしょう。ただ、開所エリアならではの事情や情報によって、立ち回り方は常に検討していきましょう。また、この時期は新規開拓の一方で、リピーターをいかに増やすかに注力しましょう。一度でも依頼があった関係機関に対しては、利用者の情報共有等の名目で(実際に必要なこと)コミュニケーションの機会を作りましょう。コミュニケーションの中で、相手の必要としていることを分析し、良きパートナーとなれるよう努めましょう。いいケア・キュアができれば、必ず次の依頼につながるはずです。

4.成熟期の営業展開

この時期になれば、基本的には”ミスをしな”ければ自ずと依頼は増えるでしょう。成長期よりもさらにリピーター増加に注力しましょう。依頼元に対する基本行動パターンをマニュアル化し、依頼元のキャラクターに合わせて忠実に施行していれば基本的には失敗はないはずです。またエリアについては、訪問効率を考慮し、ある程度絞っていってもいいでしょう。また、”新規依頼を受け入れられる体制である”ということは、常に発信していきましょう。一度絶ってしまった依頼を再開させるのは大変です。まずは、どうすれば依頼を断らずに済むのかを考えることから始めましょう。

5.次店準備期の営業展開

 この時期になると、1つの箱(事務所)での運営が非効率的となってきます。現状利用者分布や依頼分布などのデータをあらかじめ加工・分析できるようにしておき、近隣の効果的な場所にサテライト事業所の検討しましょう。サテライト事業所を設置すれば、設置の目的や場所にもよりますが基本的には訪問可能エリアが広がります。設置予定エリアの新規開拓を重点的に展開しましょう。その他は成熟期の営業展開と変える必要はないでしょう。

まとめ

 利用者人数や訪問件数はあくまでも目安です。そのエリアに合わせて必要な時期に必要なことができるよう、先手先手の事業展開をしていきましょう。また、情報収集は常に欠かさず行い、立ち回り方を検討していきましょう。全ては利用者あっての事業、利用者のため、地域のための事業です。利用者の利益を大前提・ベース・最優先に、訪問看護事業としての利益を追求していきましょう。